流石に秀逸な鷹さんのROMANEX観戦記。深い。深いじゃん。
(長いので縮小サイズにした。コピペして嫁)


【タイトル】K-1 ROMANEX,BORN TO K-1
お前ら、プロレスラーなんでね、DDTがつい出てしまったみたいな。
グラディエーター(2R 判定3-0)アントニー・ハードンク●
翌日の武士道のお目当ては「ここはオレのリングだ。カカッテコ〜イ」とか怒ってたわりには、
やたらあっさりと流れちゃったわけだろ。
そりゃ入手していたチケットを払い戻ししてでも
その腹いせにこちらの方を見に行ってやろうとの思いに至ったわけ。
まあこの俺こそは所謂ひとつの「旗揚げマニア」なわけであるし、
新生Uの旗揚げにも立ち会ったし、PANCRASEの旗揚げにも立ち会ったし、
PRIDE.1にも立ち会ったし、掣圏道の旗揚げにすらも立ち会った。
そう言えば上の子の出産にも立ち会ったとか立ち会わなかったとか。
つい魔が刺してK-1が本格的に立ち上げたMMAイベントの歴史の生き証人に
なるべく当日券で会場入りしたんだよな。
噂とおりにチケットの売れ行きは芳しくないらしく、
たまアリの使用形態は先日のPRIDE GPの時のようなスタジアムヴァージョンではなく、
ふた周り小さいアリーナヴァージョン。
俺の入手した座席はは6000円の筈だったのだがチケットには16000円とプリントされてた。
繰上げ配付万歳。
席につくなりもうやってましたがな、このオープニングマッチ。
グラディエーターっててっきりあのマイク・アッサムかと思っていたらば、
見たこともないブラジリアンじゃん。
正しくはあちらの方は“グラディ”ではなく“グラジ”だったか。まったく谷川のやることは詐欺だよな。
しかしながら藤田和之フィギュアが500円で売られてたことには
大変に好感が持てました(グレートアントニオ在庫一掃セール)。
 
ブルーウルフ(2R 4'44" TKO)トム・ハワード●
青あげて、緑あげて、青さげないで、緑さげる。
仮にも世界の格闘技市場を席巻するK-1が立ち上げた新たな
MMAブランドの記念すべき旗揚げ最初のカードがこれでは
とってもプアーな気持ちにならざるを得ない。
そういう意味ではオープニングから第一試合に連なるリッチな演出は現時点ではPRIDEの方に軍配。
朝青龍兄と元グリーンベレーといったギミックにおけるプロレスラー同士のVTを
ここに持ってくる意味合いは皆無に等しい。
誰が喜ぶんだこんな辺境地での新日VSZERO-ONE戦争なんて。
この時ばかりは「プロレスラー同士のヴァーリトード? ファッキンふざけんなアイム・チョーノ!!」
との汚い日本語が不思議なくらい心に浸透していきました。
まったく谷川は上井さんのご機嫌取りに終始しやがって。
しかしながら俺の座席のすぐ近くに桜井悠美子ちゃんが座っていたことには大変に好感が持てましたハァハァ
(男連れでしたが)。
 
サム・グレコ(3R 判定1-2)LYOTO○
よく憶えてねえな〜。
あるだろ興行の中でひとつやふたつ。
全く記憶に残ってねー試合っつーのが。
小路vsジュアン・モットとか、小路vsラリー・パーカーとか、小路vsヘルマン・レンティングとか・・。
あんな感じの試合だったぜ。
ただひとつ憶えてることは、
LYOTOってのは己の潜在能力を対戦相手のレベルに併せて調整するかのような
ある意味器用であり、ある意味不器用でもある格闘家なんだなって感じたことくらいだな。
謙吾戦においては謙吾があのくらいの立ち位置にいるおかげもあって
自らもあのくらいの立ち位置におけるULTIMATE CRUSHをしてしまったおかげで
猪木にガチビンタ(3発目はガチパンチ)を頂戴してしまったわけだし、
UFCライトヘビー戦線においてはかなりのレベルにいた筈であったリッチ・フランクリン戦では
相手の強さに共鳴するかのように自らのポテンシャルを爆発させて
見事なまでの化学反応を垣間見せたのは記憶に新しいKコンフィデンス。
キャリア面では比較にはならないが、そういう側面で解釈するに
近藤有己的な不可思議な部類に属する色合いをLYOTOには感じる。
風貌はドン・中矢・ニールセンだけれども。
 
ゲーリー・グッドリッジ(1R 1'22" KO)ザ・プレデター
K-1ファイターの総合転身に伴っての他団体への流出防止の為、総合部門を立ち上げた」とは
元フットボーラー谷川の弁だが
所信表明からして組織防衛的な実に事務的な色合いが深い印象を得ているだけに、
ゲーリーやらフライやらPRIDEの下請けリサイクル業者的なせこさも相まって
「現代の異種格闘技戦」といった壮大な振りしたテーマとは反比例するかのようなスエた匂いを
WE WILL ROCK YOU」を聴いている際にやたらに感じたドンドンパン。
それならばステファン・レコマーク・ハントを見事にスッパ抜いたPRIDEの方こそが
真の異種格闘技戦を体現する場ではないかと捻くれた感慨にふけってしまう。
まあK-1的には大晦日の男祭りにおいて、お涙頂戴の引退試合を演じた当事者ふたりをそのまま引き抜き
「引退」という事象をも亡きものにしてしまう最大の嫌がらせをしたつもりなのだろうがどうも貧乏臭い。
まあこの貧乏感はエメリャーエンコが落ちるのを待って相殺としよう。
 
ジョシュ・バーネット(1R 2'15" KO)レネ・ローゼ
総合格闘技という非道く特化されたジャンルが、近年ルール面においては整備されていく傾向にある中で
黎明期における山本宜久ブランコ・シカティックを彷彿とさせるような
「露骨なロープ掴み」というものを久し振りに見た気がする。
そういう意味では古くから無理矢理にKのリングでMMAをやらされたり
VTJ95にも出場させられてきたローゼの中に
いにしえのストライカーの持つ往生際の悪さを感じることが出来て少し嬉しかった。ええ話ヤン・ロムルダー。
しかしながらジョシュにとってはその「往生際の悪さ」がATAMAにきたのであろう。
グラウンドでのサブミットを近藤戦や高橋義生戦のように関節技に見出すのではなくパウンドにいってたもの。
ジョシュのプチキレ加減が伝わってきてこれまた少し嬉しかった。ええ話ヤン・ロムルダー。
 
須藤元気(1R 3'40" KO)ホイラー・グレイシー
おいし過ぎる。
未だジム制に特化することなく丸坊主の新弟子制を敷いていた日本の格闘技事情に
おける諸々苦労を面倒なものと捉え
飛び級でのデビューを見越してLAに渡り「逆輸入ファイター」としての
売り口上をもプランニングしていた須藤元気
そのプランニングは功を奏しネオブラでの奇抜なデビューもマニアックな見地ながらセンセーションを呼んだ。
戦果的な実績はまだまだでも鈴木みのる戦を熱望してみせたり、
コロシアム2000でのアンドレ・ペデネイラス戦を東京ドームで実現させたりと話題への過剰なまでの嗅覚は
ライオンズマンションを本当に購入した松田聖子以上に過敏なものであることを常々垣間見せてきたわけだ。
以降に連なるK-1 MAX進出も然り。須藤の自己プロデュース能力は他の格闘家の追随を許さない。
そういう意味では今回のホイラーは須藤にしてみればおいしい踏み台でしかなかったわけだ。
VTJ96・朝日 昇戦でそのベールを脱いでから早8年。
桜庭和志戦では苦渋を舐めさせられ村浜武洋戦では総合における限界点を露呈したホイラーだったわけだが
それらを経てまで今回の元気戦に出張ってきた意味合いは
30㌔以上も体重差のある佐野直喜を向こうに廻した時よりも尊いものだと俺は思い込みたい。
歓喜の会場をよそに、等身大の自分(失神KO)を晒した
ホイラーの勇気にひとり乾杯した気持ちになった。完敗。
それにしても元気の嗅覚はお次はホイスを捕らえたわけね。
菊田はまたフラれちゃったね。フラれ気分でロッケンロール負けた者は去れ〜。
 
○BJペン(1R 3'40" 肩固め)ドゥエイン・ラドウィック
「以前までのボクは打撃で勝とうとばかりしていた。ボクは柔術家だということを思い出したんだ」
不沈艦マット・ヒューズを沈めた直後にBJはシンプル イズ ベストな上記のコメントを残していた。
自らのバックボーンを思い出したBJの快進撃は
RAMBLE ON THE ROCK 4での五味隆宏(Kグラント風)戦以降においては目を見張り過ぎる。
五味、ヒューズ、ラドウィックを一蹴した事実はジェンス・パルヴァー戦で
付けたミソを払拭するには余りあるものだ。
K-1がこの駒を入手出来たことは大きい。
ゲーリーやフライといったPRIDEが廃棄処分したファイターを
リサイクルする行為以上に実になる招聘なわけだ。
KIDや元気との軽量級戦線におけるアクセントにはもってこいの駒だし実力的にも折り紙つき。
しかしながら現時点における会場人気についてはラドウィックに完勝しても
観衆的にボ〜〜〜の状態だったわけだが
主要人物との絡みの中で認知されていくことは間違いないとは思う。
今後この階級におけるK-1の青田買いが始まると思うとWAKU WAKUする。
日本からは修斗ZST等からの世界市場への参画のみしか目につかなかったこれらの軽量級に
K-1DSEにおけるPRIDE武士道向けの格闘家を招聘すべく動向が推し進められていく中で、
一体どのようなバブルの膨れ方をするのかそれなりに楽しみではある。
あれもいいね。あれはいくら?あれも貰おうか?
谷川の気分はもうマイケル・ジャクソン
 
ドン・フライノーコンテスト中尾芳広
前出の須藤にしても君は青春ストライカーにしても、単においしいものへの嗅覚が鋭いに留まらずに
用意されたチャンスをモノにし得る実力が伴っているからこその「運の良さ」なわけであり
そのような見地から判断するにこの中尾という手合いはそういう星の下には生まれていない属性らしい。
それなりのネームバリューを備えつつ現状のMMA事情においては
それこそPRIDEからのリサイクル商品との印象が強いフライとのマッチメイクを
休憩後のセミ前に組んでもらったにも関わらず
チャンスをモノにするどころか派手に散ることも許されない非道く中途半端な
ノーコンテスト劇を演出してしまった彼氏にとって
実力の有無を問う以前に興行における運の無さを露呈してしまった事実は、
今後の先行きにも暗雲をもたらすに違いない。
そういう意味では次戦においてどのような厄病神振りを発揮するのか逆にまた注目してみたくもあるが
今回は競技統括プロデューサーをリングに導き出してしまっただけに、
俺的にはホントにうざったくてしょうがなかった。
「角田に総合の何がわかる?」と俺は叫びたいのだが
少なくとも俺よりはわかってるんだろうな。
 
アレクセイ・イグナショフ(2R 1'51" ギロチンチョーク)中邑真輔
イグナショフは本当に強いと思う。
世界屈指のファイターであることには何ら否定の念も抱かない。
でもよ、きっとこいつってK-1のグランプリ王者には一生なれないだろうな。
ましてやMMAのトップにも絶対立てないだろう。
ミルコ以上のポテンシャルを備えていることは認めるが、ミルコ同様一生「無冠の帝王」だな。
慢心やエゴイズムが敗戦をもたらしたのではない。
単に「やっつけ仕事」なんだもの。
こんなイグに誰がした?
谷川が悪いのか?
プロモーションが悪いのか?
上井さんへの機嫌取りがそんなに悪いのか?
蘭から日本への直行便不足が悪いのか?
大会開催前に平 直行に対して「やっぱり今日もブレーク早め?」と質問した俺が一番悪いのか?
その問いに対して一切の無視を貫いた平。この試合を裁いたのはPANCRASE梅木良則でした。
俺が悪かったDEATH。
 
ボブ・サップ(1R 2'10" KO)藤田和之
同じ等身大を見せるにしたってホイラーのような感傷的な思いを抱かずに済んだのは
それがサップっだたからだろうか。
意味じくも細木数子は言っていた。「サップさんあんたね。もう引退した方がいいよ」
格闘技に造詣が深くなくとも誰もが細木のような印象を抱くだろう。
格闘技界におけるサップの必要性とは、バブル景気に活気づく一頃の兜町の様相を呈している。
サップによる主体性が原動力となって格闘技界にリンクしているのではなく、
裏で糸引いてる奴が露呈し過ぎでなんともコミック調だ。
バブルはとうに弾けてるのに尚も弾けていないものとして虚構や偶像を幾重にも
重ね塗りしている現状はむしろ痛々しい。
その痛々しさと藤田のサッカーボールキックを被弾しまくっているサップの痛々しさは、
これでもかってくらいに正比例していた。
パスガードや猪木・アリ状態をも超越したサップの鈍臭さ。
肉体的アドバンテージを淘汰された際に生じる子供並みのパニック症候群。
心が折られたんじゃない。心がそこにないんだもの。
深い。深いじゃん。